僭越、甚だしくも

2018年夏に突如ジャニーズJr.に転がり落ちたオタク

【感想】ミュージカルSUPERHEROISM 愛の売り場を見つけた話

 

当初は3/14~15大阪公演、3/19~29東京公演と催行予定だったのが昨今の情勢による自粛の結果、3/23が初日で千穐楽、たった1公演の舞台となってしまい、本来の千穐楽である3/29を過ぎて今なお、まだ公演が終わったという実感がなく、公演を楽しみに待っていた時のような気持ちのまま、本来の初日から気づけば1ヶ月が経ちそうな今日この頃。見たこと感じたことをどんなに忘れたくないと思っていても、書き留めておかないと忘れてしまうので、無かったことにはしたくはないし、忘れたくはないので感想を書き留めておこうと思い、このエントリを書きます。

 

今回、あまりにも観れなかった方が多くいらっしゃると思いますので、記事の内容自体が不快、もしくは見たくないと思われる方も少なからずいらっしゃると思います。その為、記事本編はご自身の判断で記事を読み進めるなり閉じるなり、自衛の程、宜しくお願い致します。

 

 

 

目次

●あらすじ
●感想
・スパヒロの雑感
・ヒーローと愛の売り場とは
・佐々木大光くん中心の感想
●劇場の感想(クラブeX)
●公演グッズ

 

●あらすじ

高校を卒業し、夢もなく過ごしているゴタンダ(中村嶺亜)。そんな彼がアルバイトとして選んだ職場はアメリカンテイストの派手なスーパーマーケット。その名も「HEART BEAT MARKET 」。

そこには、アメリカに魅せられた店長と個性豊かな社員たち。そしてアメリカの如く自由気ままにアルバイト人生を謳歌する若者たち。個性がなく生きてきたゴタンダにとっては刺激的、魅力的にうつる。そしてゴタンダの研修の日々が始まり、生鮮、レジ係、魚屋、肉屋の研修を経て、彼はお客様係として働くこととなる。

ある日、マーケットに脅迫状が届く。閉店間際に毎日やってくる怪しい客ピーマン(佐々木大光)をマークする大人たちと、恋に揺らぐアルバイトたち。ゴタンダもまた、レジ係のチサに恋をしてしまう。さらに、「愛」を持ってお客様に接することがモットーのマーケットの意見箱に、一つの質問状が届く。

「愛の売り場はどこにありますか?」

この疑問に答えるべく、ゴタンダは初めて出来た仲間や上司たちとスーパーマーケットで奔走をする。ゴタンダは、アルバイトの仲間たちと「愛の売り場」を見つけることが出来るのか――。

ミュージカル「SUPERHEROISM」公式HPから引用 https://www.superheroism.jp/ 

 

●感想

・スパヒロの雑感

あらすじをHPで見た時にコメディだなと安易に思っていたら、全然そんなことはなくて、確かにコメディだけれども、思ってたよりもずっと話のテーマである「愛」について考えさせられるお話でした。というかめちゃめちゃ好みの作品だった。観劇した後に色々考えさせられるというか、ああだったのかなこうだったのかなと余韻に浸ることがとにかく楽しいです。三浦香さんが脚本演出の時点で絶対間違いないと思っていたので、自担の舞台だからというだけではなく、全体として満足感が高い、超スルメ舞台。

 

・ヒーローと愛の売り場とは

タイトルのヒーロー=英雄について考えると必然的にゴタンダについてに語ることになるんですが。ゴタンダの小さい頃の憧れはヒーローで、そして今でも誰かにとってのヒーローになりたかった男の子のように映りました。HBMでアルバイト前はゴタンダはどこにでもいるフリーターだったけど、HBMで働くうちに本当のヒーローに成長していったんじゃないかなーと。

 

だからゴタンダがチサに恋をすると同時にピーマンと恋敵になった際、始めのうちはチサを振り向かせようと色々と頑張るけれど、ゴタンダは次第にピーマンを応援するようになって、チサへの恋は身を引いているように見えました。チサへの恋は自身の欲求だけど、ピーマンを応援することは誰かの為になること=ヒーロー的行動で、チサが幸せなら、幸せにするのが自分でなくてもいい。それはピーマンのヒーローになったゴタンダにとって、このヒーロー的行動は矛盾のないことだったのかも、なんて思いました。ゴタンダ本人も僕は誰かの助けになりたいと劇中、言っていたので。

 

冒頭でヒーローは完璧な存在である、というようなことをゴタンダは言うんだけど、舞台の終わりにヒーローとは案外虚しいものだと締め括っていて、ヒーローは単なる正義の味方というわけでもなく、ヒーローという存在に含みを持たせて終わったように感じました。ヒーローとヒーロー自身の幸せを両立するのってやっぱり難しかったり、ヒーローも色々悩むことがあるというか、全ての人を救う=ヒーローという図式をなんとなく持っていた私にとって、ゴタンダは新しい形のヒーローだなと思った。ピーマンにとってはゴタンダは確かにヒーローだけど、チサにとってはヒーローではなかったわけで。と、同時にゴタンダのヒーローって誰に当たるんだろうって思ったり。なのでゴタンダにとってのヒーローが現れて欲しいし、虚しさゼロの100%の笑顔が見たい。天国にいるファンキーなばあちゃん何とかしてくれ。でもゴタンダがヒーローになったおかげでピーマンは救われて、ピーマン自身もヒーローであることが信念だと言い切っていたので(それはピーマン自身が今後誰かのヒーローに殉じていくのではないかと思わされた)、ヒーローはヒーローを生み出す輪廻システムなのかもしれない。

 

でも私が一番幸せになってほしいのは断トツにチサなのである。

ただ可愛いだけじゃなく、所々ヤバさを醸し出すスーパーのアイドル・チサ。お金を数えながらお金に価値はあるけど、じゃあ愛って価値あるんですかと新人アルバイターに無邪気に聞いてくる。もしかしなくてもヤバい。

最近レジのお金が合わない、というフラグがここで回収されてしまう。実はチサが以前からレジ金ちょろまかしていて、それを現行犯でHBMメンバーに見つかってしまったという地獄。みんな最初から気づいてたのにバカにして私のこと嫌ってたんでしょと開き直るチサに対して、ゴタンダがそんなことないって否定するけど信じてもらえない。なぜならチサは誰も信じてないから。

なんだかんだHBMの面々は人との関わりによって、人を信じたり、守り守ったりすることを通して救われていくけど、チサ本人はHBMの誰も信じてはなかったから救われなかったのだと思うと、チサには人を信じられるようになって、頼れるようになって、そしたらチサのヒーローが現れて、愛の売り場を見つけられるようになるんじゃないかなと願わずにはいられなかった。めそめそ。

 

と、まあキャラクターについてあれこれ考えるのはとても楽しかったです。

 

 

・佐々木大光くん中心の感想

昨年のDREAMBOYSを見てからというもの、彼が歌って踊って演技する所を是が非でも見たいと望んでいたので、ミュージカルで全部叶ってもうこれでもかってくらい舞台で輝く姿が見れただけで大大大満足だったんですけど、個人的には中でも歌が、生歌が最高でした…………!!!!!

 

 

大光が歌ってるところってあんまり聞けないから、舞台でソロで歌っているっていう胸熱……そして声が甘い〜〜〜綺麗〜〜〜澄んでる〜〜〜〜!!ってそれだけで大興奮なんだけども、中でも劇中で嶺亜くん演じるゴタンダとの歌では、大光演じるピーマンと二人で1フレーズ歌う場面があって、侍の曲でもあまりハモることってなかったように記憶していたので、それも衝撃的だった。しかも下ハモ。それはもう綺麗なハモり。

 

直近だとサマステのシャドボでの一節だったり(名前を呼ばれて濡れ惑う〜のとこ)、ドリボでのWTTEでの一節(誰よりも最前線の〜)もいい声だな〜歌ってるとこもっと聞きたいな〜って期待するに充分値するいい声だったんだけど、それを遙かに凌駕する、劇中歌の歌いっぷりに、ねえもっと積極的に歌……歌を歌って下さい!!!!っていう欲求が芽生えた。前述の二曲はわりとアップテンポな曲だったけど、今回の劇中歌での歌声は全くそれとは違っていて、だからもっと色んな歌を歌って魅せて聴かせて欲しいな〜〜と改めて思った。

 

基本、魅せられているので演技面では心の中でワーキャーしていたのですが、普段の本人からは想像つかないような、色々な表情が垣間見えたのが演技ってすごいな〜と改めて。登場から序盤まで始終自信なさげな挙動不審な様子だったり、チサに恋をして物陰から熱心に見つめる姿だったり、ゴタンダに対して最初は怪訝そうな様子でおどおどしてたのに途中から勝ち気な表情浮かべながらチサとラ・ラ・ランドみたいなダンス踊ったり顎クイしたり(結構ガッツリ踊ってて衣装も相まってまじでラ・ラ・ランドにしか見えなかった)、チサに嫌いと言われてショックを受けたりとする様だとか、すごく良かったです。

 

 

公演後のカテコが20〜30分程あり、一人一人キャストが挨拶をしてくれたのですが、大光が今回の舞台に立てることは当たり前じゃないっていうことを学んだというか、と話すことがあって。この学んだっていう言い方を始め、言い淀んでいて。学んだというか思い知らされたというか、本人にとっても予期せぬことで、きっと頭では分かっていても、実際こういう舞台に立ちたくても立てない状況っていうことを改めて知ったというか、そういうニュアンスの言い淀み方をしていたのが個人的には印象的だった。言葉に詰まった時に本当は何を考えていたとか、そんなのは言葉の受け取り方次第なところではあるんだけども、それでも披露する為に準備してきたものが、見てもらえない、見てもらえる機会が減ってしまって、彼自身が今舞台に立っていることと、私たちファン側がアイドルとして彼を応援できる場にいれることって本当に奇跡みたいなことなんだなって、私自身も感じたし、なんていうか言葉にして、伝えようってする大光の姿勢がまた彼を応援しようと思う後押しになるというか、応援していきたいなと思わせてくれた挨拶でした。

 

 

 

●劇場の感想(クラブeX)

事前に見づらい劇場というのは先人のブログやツイートを見かけていたので、想定内の見づらさだったかなーと。段差のないフラットな床に、結婚式場でよく見かけるタイプの椅子が半円形に並んだ作りでした。ただ、どの席からも近いと感じられる会場の狭さなので、普通に観劇する分には双眼鏡はいらないと思われます。細かい顔の表情を拾いたい人は5倍くらいの低倍率双眼鏡使うといいかも知れない。私も表情が見たくて使った。去年買った双眼鏡が軽くて明るくて小劇場ならもうこれでいい。充分見れる。そしてどれくらい軽いかと言えば、観劇終わっても仕事かばん突っ込んだまま、丸3日気づかなかったくらい軽い。

 

 

舞台は下手からA・B・Cのブロックに分かれていて、ACの端から1-5列くらいはほぼ真横からの視界、~10列も何かしら見切れる視界だったんじゃないでしょうか。私は今回、1階のド端の見切れ席だったので、自分が座る反対側の舞台装置やそこで繰り広げられる演技については、正直、見えづらかったかなぁと。舞台中央で踊ったり演技していても、正面を向いての演技になる為、また舞台自体がブロックBに向かって突起する形状の為に、舞台中央での演技は全部演者の後ろ姿を観るような形でした。それでも役者さん達が360度くるくる四方に動いてくれるので、ほか舞台と比べてお顔がどの方も見えた印象。

 

また同じ見切れでも、2階席の方が俯瞰して見れそうだったので、もしかしたらそちらの方が見やすかったかも知れない(今回見てないので正確な所は分からないけど)。 ただ真横の見切れ席で良い面も勿論あって、ピーマンの悔しさを湛えた顔や泣き出しそうなシーンの演技の時、真正面で見ることが出来たり(逆にこれは真正面の席の人は観れなかったと思う)、何より客席と舞台が近いので、演者もなるべく舞台端まで使って演技をしたり、舞台端から登場したり、観客と目を合わそうとしたりと、そういったことを感じられて(特に私の観劇した席は川﨑くんと石賀くんの立ち位置だったからなのか、彼らの眼圧が凄かった)、どの席でも楽しめるようにはなっていた。なので、色んな角度からこの舞台を見て見たかったと思いました。

 

しかしどの席も基本近い。めちゃくちゃ目の前に演者さん達がいる。目が合う感覚(実際には合ってないだろうけど)視界に入れられてる感が半端ないので、そういうの好きな方なら堪らん劇場なんだと思う。ただ舞台全体を見るなら絶対、絶対に2階席だと思っているので!!(俯瞰で全体的に見れなかったことが心残り)、次回eXに入る機会があるのならば、是非2階席で観劇したい。

 

●公演グッズ

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舞台のエコバッグ付きパンフレット。可愛い。

shop.mu-mo.net

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エコバッグは赤と青の2色

使ってみた所感、結構丈夫なのと、折り畳みできるようになっているので普段バッグの中に入れておいて、いざという時に使えて便利だし、何より可愛いです。エコバッグ付きのパンフレットは4/29(水)20:00までWEB販売しているので、是非。

 

 

またいつか、SUPERHEROISMが開店されることを、心から願っています。

 

以上です。